「ザ・フューリーズ」
今のところ、日本での公開は未定。
編集部評価
総合評価:★★★★★
ギミック:★★★★☆
様式美:★★★★★
不気味さ:★★★★☆
ストーリー:★★★☆☆
あらすじ
不良高校生のケイラとマディーは、ある日何者かに誘拐されてしまう。目覚めたらそこは森の中。ケイラはマディーを探し森をさまようが、そこには不気味なマスクをかぶった殺人鬼たちが潜んでいた…。
編集長の一言
演技は大根。
小世の関連作品のすすめ
マスクの造形が好きな人は、『悪魔のいけにえ』『バーニング』『ハロウィン』などを。チームで戦うサバゲーが好きなら、『ハンガーゲーム』『バトルロワイヤル』をどうぞ。
みどころ
①『美女と野獣』のバトルロワイヤル
この映画は、ただのスラッシャーではない。ただの人狩り映画でもない。『バトルロワイヤル』のようなサバゲー要素に『美女と野獣』をモチーフにした男女タッグルールが絡んだ、今までにないスラッシャー。それが『The Furies(原題)』だ。
森には、8人の『美女(beauty)』と8人の『野獣(beast)』が放たれている。『野獣』は『美女』を一人、また一人と狩っていくのだが、なぜか特定の『美女』だけは傷つけない。また、『野獣』同士は敵対関係にあるようだ。映画が進むにつれ、だんだんと明らかになってゆくルール。このルールにより、狩る者・狩られるもの、という単純な二項対立が崩れ、ゲームの展開が複雑になってゆく。
②マスクの造形
8人の殺人鬼の造形を作り上げる過程で美術チームがインスピレーションとしたのは、70年代から80年代のクラシック・スラッシャー・フィルムだった。確かにこのマスク、どこかで見たことがある……?
『ハロウィン』のブギーマン、『悪魔のいけにえ』からはレザーフェイス、もちろん『13日の金曜日』のジェイソンを忘れてはいけない。他にも『バーニング』や『エルム街の悪夢』など、半世紀にわたり人々を戦慄に陥れたフィルムたちを彷彿とさせる8人のマスクがこの映画の見どころの一つだ。
③ゴア描写
この作品は低予算映画のため、キャストの配役や、設定上の無理など、いくつかの欠点を抱えている。そのため、賛否が分かれる映画になりそうだ。しかし1点、誰もが手放しで称賛できるであろう点が、ゴア描写だ。
抗うキャラクターがゆっくりと顔の皮を剥ぎ取られるシーンや、2度も登場する眼球くりぬきシーンなど、スラッシャーのスタイリッシュさを保ちながらも、しっかりとゴアを入れてくるその見せ方は見事。
監督によると、撮影には100リットルもの血が使用されたという。
「できるだけCGは使わず、カメラだけで撮りたかった。バイオレンス表現は、散らかった、直観的なものにしたかったんだ。」
ゴアが好きな方には是非オススメしたい。
レビュー
※ここからはネタバレなので、要注意。
ゲームの始まり
不良高校生のケイラは、ある夜街で親友のマディーと落書きをしているところを、何者かにさらわれてしまう。
このケイラ、『キリング・グラウンド』でジェスを演じていたアクター。まあ、どう考えても高校生には見えないね・・・。お顔がギリシャ彫刻のようで大変美しい。
ケイラが覚醒すると、そこは手術室のような場所。ぼんやりとした意識の中、何かを眼球に移植される。夢か現実か… ふたたび昏睡の中に落ちていく。
けたたましい警報音とともに目が覚めると、黒い箱の中。外に出ると、そこは広大な森だった。箱には『Beauty No.6 (美女 6番) 』という文字が書かれている。
他の女性と合流し、行動を共にするケイラ。しかし、そこにいたのは「美女」だけではなかった。森の奥から現れたのは、恐ろしい造形のマスクを被った男。
『ハァ、ハァ、ハァ』
息遣いが荒く、変態がにじみでてる。美女を発見し、大興奮の怪人おじさん。
二人は隠れるが、ケイラは眼に移植されたなんらかの機械の電波により、気絶してしまう。ここで気絶!?観衆が手に汗にぎる中、もう一人の「美女」を追いかけるのに夢中で、ケイラに気づかないおじさん。美女は全速力で逃げるが怪人おじさんにつかまり、手斧で顔面を剥がされる。
1分近くかけてゆーっくり剥がされてたね。
このシーンは後世に語り継がれるでしょう。
目覚めたケイラは彼女の死体を発見。次は自分…全速力で森を抜けると、そこには砂漠が。そして遥か先にかすかに村が見える…。あそこまで行けば助かる!
ケイラは村へ向かって走り出すが、砂漠に足を踏み入れた瞬間、頭に激痛が走り動けなくなってしまう。(また!?)よく見まわすと、森を取り囲むように装置が並べられている。そのラインを越えると眼球に移植した装置が反応し、動きがとれなくなってしまうようだ。
逃げられない…。呆然とするケイラ。なんとか身を隠すが、そこへ殺人鬼に追われた『美女』サリーが逃げてくる。
「助けて!」
ケイラは危険を冒し、姿を現して殺人鬼の注意を引こうとする。しかし、ケイラを見た殺人鬼は追うどころか、なぜかかわいらしく手を振ってくる。違和感を覚えながら、手を振り返すケイラ。グフフ、グフフ、、、と嬉しそうな怪人おじさん。困惑する観客一同…😳
そこにもう一人の殺人鬼がやってくる。すると御花畑全開だった怪人おじさんが身を翻し臨戦態勢に。そして新参の殺人鬼に襲い掛かった!このおっさん…ケイラを守っている…?謎の感動に包まれるスクリーン。しかしとっくみあうおっさんたちの姿は完全に覆面プロレス。感動は一瞬にして吹き飛んだ。
ケイラもこの展開に違和感を覚えたようだが、この機に乗じて二人で逃げだす。
「美女」たちの連帯
ケイラは怪我を負ったサリーを木の陰に隠すと、助けを求め森へ。途中、殺人鬼から逃れるため小屋に隠れるが、緊張が高まりすぎた彼女は、不意に小屋に入ってきた『美女』を殺人鬼と勘違いして殺してしまう。
その直後、また別の『美女』シーナとローズが小屋に入ってくる。 死体を見て驚く二人に、ケイラは状況を説明する。 ローズはベトナム系で、話し方は5歳児…。設定はよくわからないが、なかなかいいキャラだ。「友達になりましょう」二人は連帯を強めるが、その一方で、シーナはケイラを疑っている。
ケイラは、これまでの状況からこのゲームのルールを推測する。
- このゲームには『美女』と『野獣』がそれぞれ8人参加する。
- 『野獣』は、自分の番号以外の『美女』を狩る。
- 自分と同じ番号の『美女』が死んだら、『野獣』も死ぬ。
- 最後まで残ったペアが勝者となる。
そして、どうやら目に移植されたカメラによって、このゲームは全て監視されているようだ。その説を裏付けるかのように、ケイラが死体から眼球をほじくりかえすと、謎の装置が発見される。
話を聞き終えた途端、二人を裏切るシーナ。「私にも野獣がいるのよね。私は勝者になって生き残るわ!」
「あ、こいつ死ぬな」と観客全員が思った瞬間であった。
その予想通りシーナはおっさんに殺されてしまう。
このおっさんは、さっきケイラに手を降っていたおっさん。そう、彼はケイラの野獣だったのだ。歩み寄り、握手の手を差し出すおっさん。タッグを組み、おっさんに助けてもらうのか…そう思った矢先、おっさんに斧の一撃をぶち込むケイラ。なんと、ケイラは自分を守ってくれる唯一の野獣を殺してしまったのだ。
ここのケイラはかっこよかったです!!
逆に自分の野獣に頼ろうとしたシーナは即死してるもんね。明確な女性賛歌が感じられるな。
マディーとの再会
ケイラとローズは、眼球に偶然転送された映像を元にマディーの居場所を探し当てる。久々に再開したケイラとマディーは、熱い抱擁を交わし涙を流すが、その二人を憎しみの目で見つめるローズ。目が完全にいっちゃっている。キ○ガイ度が振り切れてて、完全にハンターハンターのパーム。
そこに、もう一人の野獣おっさんが現れる。「こっちは3人よ!」威勢よくさけんだケイラだったが、またも眼球に飛ばされた信号で気絶してしまう。お前肝心な時にいつも…。
絶体絶命の3人。その時ローズはあることにひらめき、マディーの首を掻き切る。すると、目前まで迫っていた野獣の頭部が炸裂。どうやらこの野獣は、マディの野獣だったらしい。
ためらいのなさが、マディーにケイラを奪われた嫉妬の気持ちをよく表してた。
目覚めたケイラは状況を察知し、ローズを責める。「あなたを守るためにやったのに」と泣きながら弁明するローズだったが、ケイラは親友の亡骸を抱えたまま、言い放つ。「あなたが死ねばよかったのに!」。この言葉を聞いたローズは発狂。叫び声をあげながら森へ消えていった。
復讐の女神
ケイラは茫然自失の中、森を抜け再び砂漠へ。自ら監視装置付きの目玉をくり抜き、砂漠を後にする。
これにより、殺人ゲームを運営する側はケイラが死んだと勘違いしたらしく、ローズとその野獣が勝者となる。
後日、VRゴーグルをつけ、殺人ゲームを追体験する富豪宅。そこにたずねてきたのは、ケイラだった。「お前、死んだはずじゃ…!?」殺人ゲームの黒幕を聞き出すと、容赦なく男を殺し、家を出る。彼女の復習は、まだ始まったばかり…。
これはフランチャイズ展開していくでしょうね。
ローズのその後も気になるし。
テレビシリーズの製作はもう決まってるようですね。オーストラリアなので、サブスクリプションで見れたらいいなーという感じです。
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ではまた次回、お会いしましょう。