斎藤工、ホラーにハマるきっかけは来来キョンシーズ!-『MANRIKI』舞台挨拶

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※この記事には映画のネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 6月29日、『MANRIKI』のプレミア上映・舞台挨拶が、韓国の普川国際ファンタスティック映画祭で行われた。『MANRIKI』は同映画祭のアジア賞を受賞。2018年には『カメラをとめるな』が同賞を受賞している。

 ブラック・ジョークの効いたホラーとも、スプラッタなコメディともとれる作品で、会場では笑いと沈黙が交互に訪れるという非常に珍しい体験をした。表裏一体である「笑い」と「恐怖」をうまくひっくり返しながら観客に問いかけるスタンスは、少し『ハウス・ジャック・ビルト』と似ている。しかしテーマはそこまで重くはなく、現代人のねじ曲がった根性を笑いと恐怖で戯画化するという点にあるようだ。

 スタイリッシュな映像と音楽、良い意味でのチープさをおさえながらも完成度の高いゴア描写、ライブ漫才をそのまま映像にしたようなコミカルな展開、そして斎藤工のおちゃめな演技が相まって、今まで見たことの無い映画に仕上がっている。


予告編はコチラ

映画『MANRIKI』予告

 舞台挨拶では質疑応答も行われたが、韓国のファンの中には一生懸命日本語を使い質問する者もおり、映画や出演俳優への韓国での関心の高さを表していた。 質問が止まると、斎藤は「なんでも聞いて。好きな食べ物とか。(永野は)サムギョプサルでしょ。」と会場を温めた。

 退場時には斎藤工が一人一人握手をするなど、俳優陣はみなファンサービス旺盛な様子で韓国のファンに応じていた。

質問に答える斎藤、SWAY、永野

映画を撮ったきっかけ

永野「あるファッションショーにゲストで呼んでもらった時、きれいなモデルたちが舞台袖で小顔プリクラや小顔矯正の話をしていて、結構ショックで。その夜、別件のパーティで、(斎藤と)そんなに顔を小さくしたいなら、図工の授業で使った“万力”でつぶしたら手っ取り早いんじゃないかって話になった。彼(斎藤)は飲まないんですけど、僕は酔っぱらってそれを映画にしようと話してて。その時は話はそれで終わったんです。そしたら翌日彼から連絡が来て。『その映画どうしますか』と。そこから始まりました。」

 この驚きのエピソードからは、チームMANRIKIのフットワークの軽さが伝わってくる。永野のネタを敬愛する清水が監督となり、その後、斎藤と同級生だという金子ノブアキを音楽に迎えたということだが、この音楽が最高。サイケデリックかつキャッチー。スタイリッシュな映像をさらに研ぎ澄ます。予告編(00:52~)を見たらわかるが、このテーマ曲だけである程度の成功を達したと言えるのではないろうか。



ホラー映画を好きになるきっかけは…

 ホラー映画を好きになるきっかけとなった作品は?と聞かれた斎藤工。回答は何とも意外な映画。

斎藤「来来キョンシーズ、キョンシーのテンテンちゃん。(キョンシーの真似をしながら)これです。来来キョンシーズ、ジュセヨ。怖い話じゃなく、可愛らしくて・・・」

『幽玄道士3』(のちに『来来キョンシーズ』としてドラマ化)

 ホラー映画を好きになるきっかけの多くは、恐怖度の高い映画とは限らない。『学校の怪談』シリーズや『トイレの花子さん』、または洋物なら『グレムリン』『ホーンテッドマンション』といった、ライトで冒険譚要素のあるものであることが多いはずだ。

 『来来キョンシーズ』はまさにそういった映画群の一つ。子どものころわくわくしながらこの映画を見る斎藤の姿が目に浮かぶ、素晴らしい回答だった。

 映画への造詣が深い斎藤。2018年にはHBOアジアのオムニバスホラー「フォークロア」で、「TATAMI」という短編を監督し高い評価を得ている。『映画秘宝』ではオールタイムベストに『時計じかけのオレンジ』や『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』を挙げており、ホラーファンとはかなり親和性が高い。


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血の翼が象徴するものとは

 ここからは核心的なオチに触れるネタバレなので、読みたくない人はすぐに「戻る」を押してほしい。

 斎藤が死んだシーンで、血が広がる様子が翼のように見えたが、斎藤の役が神のような役割として描かれているのではないか、という質問。監督の清水は、このように答える。

清水「この映画にとっては、神かもしれないですね。僕らの言いたいことを代弁してくれる。彼は死ぬかわりに、言いたいことを言わせてもらえる。」

清水「永野さんの役に、『この世界は妄想でできている』というセリフがあります。実は、最後の死刑執行日のシーンだけが現実。それ以外は、斎藤の演じる男が死ぬ瞬間に思い描いた、理想の世界。彼が自分の中で理想の死に方を想像したら、若いやつにはねられて死ぬなら本望。そして血の翼を生やしたらかっこいいな、と(男は)想像したんです。」

 脚本の永野はこう付け足す。

永野「斎藤工君が演じているのは、自分(永野)の気持ちだったりして。隅っこで生きてきた人間。そういう人が妄想の中で好きにやったら、という映画。血の翼にも、変に難しい翼の意味があるわけではなく、頭の悪い男が『血の翼かっこいい』と思っているだけ。そういう、わざと稚拙な、幼稚なところがあります。」

「だから神というよりは、永野と斎藤工君が良いように(映画に)交じって、世の中に対して唾を吐くような・・・。」

斎藤「ラッセン。」

永野「いやラッセンやりません、今は。」

 斎藤と永野の夫婦漫才が微笑ましい瞬間であった。



映画に関するエピソード

永野「自分の中では初めてに近いくらいストレスのない現場。ずっと楽しかったです。自分の世代では、つらい中からいいものが生まれると教育を受けてきたから大丈夫かな・・・と。でも理想以上のものができたので、それは驚きでした。」

斎藤「僕は、最後の電気椅子のシーンで僕が口に詰め込む大福。あれは、菅野美鈴さんの差し入れでした。なんか手に白い粉がついて、僕には死にまつわるアイテムに見えたので、(小道具として使うことを)監督にお願いしたんですけど・・・永野さんはのどの奥の奥まで詰め込んでくるんです。」

永野「撮影中に死んだら伝説になるかと思って、本気で殺そうとしました。」

斎藤「今夜トッポッキを詰め返そうと思います。」

 また斎藤は、SWAYが笑い泣きしながら車で去ってゆくシーンがとてもお気に入りだったそう。「あれに心を奪われますいつも」と言われたSWAYは、照れながら「カンサハムニダ」となぜか韓国語で返事を返していた。


 終わりに、斎藤はこのように語った。

「日本のジャンル映画は、日本国内ではどこに置き場があるか疑問視されます。この映画は永野さんの奥底にある暗くてぎらついた美しい世界、そしてそれをこれぞ映画だと思って世界に届ける監督の才能、太陽みたいなSWAYさんと、他の仲間と・・・僕らのやりたいことが全部詰まったこの映画ができたことに、いち映画ファンとしてとっても満足しています。でも評価を決めるのはお客さん。厳しくジャッジしてください。」

「MANRIKI」は、11月29日より東京・シネマート新宿ほか全国で順次公開。



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