史上最醜クリーチャー登場

「遊星からの物体X」
(1982/アメリカ)

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小世(シャオ・シー)、今週は早稲田松竹でジョン・カーペンター2本立て上映があるぞ。

ジョン・カーペンターといえば、今話題のハロウィンの、オリジナル・シリーズの監督ですね。名前を聞いただけで、あの音楽が聞こえてきます。
編集長に代わり、調査してきます!

 





というわけで、さっそく早稲田松竹へ行ってきました。1本目は「遊星からの物体X」です。

 SFホラーにはそんなに造詣が深くないため、楽しめるか心配でしたが、、、そもそもホラーというジャンルを超えた、映画史に残る名作だと納得する映画体験ができました。


「遊星からの物体X」

予告編

ホラーファン必見!ジョン・カーペンター監督の傑作SFホラーが36年ぶりに蘇る/映画『遊星からの物体X』予告編

編集部評価

総合評価 / ★★★★☆
ギミック:★★★★☆
様式美:★★★★★
不気味さ:★★★☆☆


早稲田松竹では5/17(金)まで公開中。

Amazonプライムでもラインナップされているので、登録されている方はぜひそちらから。未登録の方は以下の無料体験からどうぞ。


編集長の一言

ハスキーがシャンプー後のチワワに変身。(見たらわかります)

小世の予習のおすすめ

「ハロウィン」シリーズから1作でも見ておくと、同じ監督の違うテイストを味わうことができ、おもしろいですよ。また、この作品自体が「遊星よりの物体X」(1951)のリメイクであり、2011年には前日譚を描いた新作が作られていますので、見比べてみましょう。


時代を先取りした設定

 冒頭は、北極を走り回るハスキーをヘリコプターが負いまわるシーンから始まります。このシーンは「風の谷のナウシカ」でナウシカがオウムを森へ帰すシーンを思わせる、視覚的にも非常に印象に残るシーンなのですが……それ以上にいきなりの北極設定に驚きます。この映画、北極の極限状態で外部との連絡手段を絶たれた男たちの、寄生型エイリアンとの闘いを描いた作品なのです。

 ただ閉じ込められるだけでなく、お互いに誰が物体Xかを知らず、それどころか自分さえ物体Xに侵食されている可能性がある。一時期はやったパラサイト系ホラーの要素や、近年増えているソリッド・シチュエーション・ホラーの要素を併せ持ったSFホラーとなっています。

古典的なギミックがどっさり

 SF、パラサイト、ソリッド・シチュエーション……だいぶジャンルに偏りがあるように見えますが、心配ご無用。スラッシャーやオカルト系で受け継がれてきた、古典的なギミックがこれでもかというほど詰め込まれていますから、ホラーが好きなら誰でも安心して楽しめる内容になっています。さすがハロウィンの監督だけありますね。

 例えば、料理人の男が音楽を聴きながら料理の下準備をするシーン。カメラの視点がキッチンの外を転々と映していきますが、そのカメラに合わせ音楽の音量が変化することで、第3者の視点を強く感じさせたり。また、急な停電のあと、暗がりをよぎる黒い影について行ってしまう登場人物だったり。こういった様式美を感じさせるギミックがいくつも盛り込まれており、そこにジャンプ・スケアを合わせて、しっかりと脅かしてくれます。

クリーチャーの存在感

 そしてなんといっても、物体Xの造形が最大の見どころでしょう。これだけ凄惨なクリーチャーはなかなかお目にかかれません。ホラーのクリーチャーって、なぜかかっこよくなりがちですよね。エイリアン系だろうが、悪魔系であろうが。ゾンビ系でも、いちおう人や犬の原型とどめてますし。本作の物体Xは、映画表現というよりは、どちらかというと漫画やゲームなんかでたまに見かける、度を超した胸糞クリーチャーを映像化しちゃいました、という感じです……。

 衝撃度でいえば、へレディタリーのトニ・コレットといい勝負かな、という感じです。

秀逸な邦題

 本編とは関係がありませんが、「遊星からの物体X」。素晴らしい邦題だと思いませんか。

 いかにも怪しいけど、なんだか見てみたい……という気持ちをくすぐる“B級すれすれ”な感じと同時に、「遊星」や「X」といった語にクールでソリッドな質感も受けます。

これだけ美しいタイトルの邦題をもつホラーは珍しいですね。

基本的に邦題はおバカに振り切れたり、無駄な感じが出ることが多いからな。

最近で言えば、「新感染 ファイナル・エクスプレス」なんかもそうですね。新感染と新幹線をかけるという……原題は「プサン行き」で、シンプルないいタイトルだったんですけど。

 英語タイトルは「THE THING」。直訳するとしたら、「その、何か」という感じでしょうか。ちょっとタイトルにしてはインパクトに欠けますよね。ちなみに1951年のオリジナルは、「遊星よりの物質X」となっています。「より」→「から」へのマイナーチェンジですが、Kの子音が入ることで、より鋭く硬質さを感じるタイトルに変わったように感じます。


鑑賞後のみなさんへ

※ここからはネタバレを含みます。

 いかがでしたでしょうか。

 僕の印象に残っているのは、なんといってもシャーレに入れた血液を燃やすシーンです。逃げ惑う血の表現は後にも先にも見ないオリジナリティ溢れる映像でしたね。血が悲鳴を上げて跳びあがった瞬間は、驚いて僕も文字通り跳びあがってしまいました。

 また、登場人物が全員男という環境での各俳優の立ち回りもよかったです。「ゼイリブ」もそうですが、男同士のホモ・ソーシャルな関係を描き出すのが、この監督は本当にうまい。ラストシーンで主人公と黒人の男が二人で交わす会話が沁みますね。なお、白人と黒人の取り合わせは「ゼイリブ」と同じ構図で、何か深い意味がありそうです。

 人間たちは物体Xに勝ったのか。解釈の分かれるラストシーンですが、僕としてはあの後人類がどうなったかは関係ないかな、と思います。勝ち負けではなく、どんなに絶望的な状況でも最後まで戦い、またユーモアのような余裕な一面を失わないでいたいという、ダサくてかっこいい、人間としての意地を描きたかったのではないでしょうか。

twitterで感想を語り合おう。

ではまた次回、お会いしましょう。

コメント

  1. […] 前回の「遊星からの物体X」や、「ハロウィン」のオリジナルシリーズを見て、ジョン・カーペンターの作風を抑えておきましょう。比べながら見れば、ジョンカぺらしさを楽しみながら、他の作品群と一風違った特別さも感じ取ることができます。 […]

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